
この記事では、踵部脂肪褥症候群(しょうこつしぼうじょくしょうこうぐん)の症状や治療法について解説します。
あまり有名ではありませんが、加齢や過度の使用により踵に痛みを引き起こす疾患で、筆者自身も何度か経験があります。痛みが強くなると、踵を床に着けられず非常に厄介です。
発症メカニズムは分かっているので、今では意図的に発症させることもできるようになりました。その経験も含めてお話させていただきます。
踵部脂肪褥症候群の概要
踵部脂肪褥症候群(Heel Fat Pad Syndrome)は、踵に存在する脂肪組織の変性や萎縮によって痛みが引き起こされる疾患です。踵部脂肪褥炎や踵部脂肪褥萎縮症とも呼ばれます。
踵骨(かかとの骨)の下には、荷重量に応じて形態を変化させ踵を保護する、クッションのような役割を果たす「踵骨下脂肪体(Heel Fat Pad)」と呼ばれる脂肪のパッドが存在しています
この脂肪が加齢や過度の使用、体重増加などによって薄くなり、衝撃吸収機能が低下することが発症の原因とされています[1][5][9]。
原因
踵部脂肪褥症候群の主な原因には以下のようなものがあります。
- 加齢: 脂肪組織は年齢とともに減少し、弾力性が失われる[1][7]。
- 体重増加: 体重が増えることで、踵部にかかる圧力が増し、脂肪褥の損傷が進行する[1][5]。
- 運動や活動: 繰り返しの衝撃を受けるスポーツ(バスケットボール、ランニングなど)や、硬い地面での裸足での歩行[2][5][8]。
- 足の構造や姿勢: 扁平足や不適切な靴の使用が、踵部脂肪褥への負担を増加させる[1][5]。
簡単にまとめると、薄くなり弱くなった脂肪に過剰な負荷がかかることで痛みを起こす疾患ということになります。
筆者の場合は、片足立ちで壁に持たれかけ、踵に対して斜めに体重をかけると、5分ほどで症状が再発します。通常の片足立ちでは再発しないため、踵に対して加わる力の方向が問題だと考えています。
そのため、改善には足の構造や踵への力のかかり方を変えることが重要です。他の原因、例えば加齢は改善できませんし、体重を落とすのにも時間がかかります。部活動やスポーツでは、選手が練習を休むわけにいかない状況も多くあります。
症状
踵部脂肪褥症候群の主な症状には以下が含まれます。
- 深い痛み: 踵の中央部に感じる痛みが特徴で、特に長時間立ったり歩いたりした際に悪化します[5][9]。
- 打撲のような痛み: 痛みは、歩行や高衝撃の活動中に強くなり、休息時にも感じることがあります[5][9]。
- 両足に現れることが多い: 足底筋膜炎と異なり、踵部脂肪褥炎は両足に痛みが現れることが一般的です[5][12]。
筆者の場合は「ジンジンする痛み」が踵の一点を中心に広がる様な痛みを感じることが多いです。
診断と治療
診断は症状の評価や身体検査を通じて行われ、痛みの部位や性質、過去の運動歴を考慮し、他の疾患(特に足底筋膜炎)との鑑別を行います[1][5][9]。
治療法には以下のようなものが一般的に行われます。
- 休息とアイシング: 痛みを和らげるために、活動を制限し冷却[5][9]。
- 適切な靴の選択: 衝撃吸収性の高い靴を選ぶことで、踵部への負担を軽減[5][9]。
- 理学療法: ストレッチや筋力強化のエクササイズ[5][9]。
- 薬物療法: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して炎症を抑える[5][9]。
痛みが強い急性期の場合、当院では踵の脂肪をまとめて保護するようにテーピングを行います。ヒールカップを作るように、踵全体をホワイトテープ(伸びないテーピング)で包むのがポイントです。
これでほとんどの場合普通に歩けます。軽度の場合2,3日で痛みは取れるでしょう。YouTubeに良い動画があったので参考にしてください。
痛みが落ち着いたら、再発予防のためにオーソティクス(医療用インソール)とシューズ療法を行います。薄くなった脂肪が再生することはありません。そのため普段から踵を保護する必要があります。
足に痛みを抱える方のほとんどは、履いている靴自体に問題があります。靴選びを間違え続けた結果として、足首が歪み様々な足のトラブルを生じます。靴選びやオーソティクスによる歪みの改善が、患者様の教育も含め重要だと考えています。
まとめ
踵部脂肪褥症候群は、踵部の脂肪組織の変性によって引き起こされる痛みであり、加齢や体重、運動習慣が大きな要因となります。適切な診断と治療を受けることで、症状の改善が期待できます。
参考リンク:
[1] https://mikuni-seikei.com/orthopedics/%E8%B8%B5%E9%83%A8%E8%84%82%E8%82%AA%E8%A4%A5%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%EF%BC%88heel-pad-syndrome%EF%BC%89/
[2] https://honda.s358.com/blog/leg-foot/bottom/4266/
[3] https://hada-seikotsuin.com/sokuteikenmakuen
[4] https://taniguchiseikei.com/outpatient/disease/
[5] https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/23275-heel-fat-pad-syndrome
[6] https://specialist-seminar.com/set/12
[7] https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21K09215/
[8] https://www.physio-pedia.com/Heel_Fat_Pad_Syndrome
[9] https://heelthatpain.com/heel-pain/fat-pad/?srsltid=AfmBOoqLX4RIF4hZ3smZgpQ85kQBjmO_qPqtON001FUIY45yulFmxjfG
[10] https://www.nhslanarkshire.scot.nhs.uk/services/podiatry/fat-pad-syndrome/
[11] https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1408202918
[12] https://www.bocaratonfootcare.com/plantar-fasciitis-vs-heel-fat-pad-syndrome/
[13] https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9380282/
[14] https://www.uclahealth.org/news/article/fat-pad-atrophy-can-cause-painful-stress-feet
[15] https://www.epodiatry.com.au/fat-pad-syndrome/
[16] https://www.greatstridespodiatry.com/blog/356637-what-is-heel-fat-pad-syndrome
[17] https://footsurgeon.com/how-to-experience-long-term-relief-from-fat-pad-syndrome/
最後に

さとう接骨院
院長:佐藤幸博
仙台市泉区の整体 さとう接骨院は、痛みへの施術だけでなく再発予防まで、お客様一人ひとりの健康を大切にオーダーメイドで対応しています。
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