【整体・接骨院と整形外科の選び方】誰も言わない基礎知識

整体・接骨院や整形外科では、基本的にお体の痛みの改善を主な目的として施術・治療を行っています。

治療上の最終的な目標は同じなので、一般の方は「治りさえすればそれでOK」と通院先を選択したくなりますが、実際は治療対象となる得意な疾患や機能障害の種類が全く異なります。

この点を理解していないと、どこで治療を受けるべきか選択できません。たまたま改善しても理由が理解できず再現性がないので、再度痛みが出た場合に通院先ジプシーになってしまうかもしれません。

病院で治療すべき患者様が接骨院で施術した結果悪化することも多いですし、逆に接骨院や整体で施術すればすぐに改善できるのに、病院に10年以上通い続けている方も沢山います。

なぜそんなことになるのか、この記事で解説していきます。

まずは以下、両者の治療対象を比較した表を示します。

ポイントは、徒手療法では機能障害を扱い、整形外科では器質的疾患（病気）を扱うという点です。逆のパターンは両者とも治療できない、または非常に苦手としています。

機能障害とは？

機能障害とは、身体の一部機能が正常に働いていない状態のことを指します。

これは、体の構造（解剖学的）に問題があるわけではなく、機能（生理学的）が正常に働かないことを意味します。いくつかの例を挙げて説明します。

• おもちゃの車: おもちゃの車があるとします。この車は、普通はスムーズに走ることができます。しかし、タイヤに繋がる歯車の油が切れていると動きがぎこちなく、うまく走れなくなります。この場合、車の形は変わっていない（壊れてはいない）けれど、タイヤの機能が障害を受けているため、走ることができません。

• テレビのリモコン: テレビのリモコンがあるとします。ボタンを押してもテレビがつかない場合、リモコン自体は壊れていないけれど、電池が切れているかもしれません。このように、リモコンの機能がうまく働かない状態が機能障害です。

• お絵かき: もしあなたが絵を描くときに、手首が硬く手がうまく動かせないとします。手自体は健康だけれど、うまく動かせない場合、これも機能障害です。手の形は正常でも（骨折でも脱臼でもない）、動かす力がないため、絵を描くことができません。

異常は出ていますが、構造的に破綻しているわけでは無いことになります。

整体・徒手療法の施術対象は機能障害

筋肉の緊張やコリ

整体は、筋肉の緊張を緩和し、血流を改善するためのマッサージやストレッチを行います。これにより、慢性的な痛みや疲労感の軽減が期待できます[1][2]。

関節の可動域制限

関節モビライゼーションなどの技術を用いて、関節の動きを改善し痛みを緩和します。特に、運動制限がある場合に効果的です[2][3]。

姿勢の不良

整体は、姿勢の評価を行い身体のバランスを整えることで、痛みの原因を根本から改善するアプローチを取ります[2][3]。

ストレスによる身体の不調

心身のリラクゼーションを促進し、ストレスによる身体の不調を軽減することが可能です[1][2]。

器質的疾患とは？

器質的疾患（きしつてきしっかん）とは、身体の臓器や組織に実際に異常がある病気のことを指します。これには、炎症、腫瘍、外傷などが含まれ、レントゲンやMRI検査などを代表に、検査を行うとその異常が確認できるのが特徴です。

例を上げます：

• おもちゃの壊れた車: 例えば、おもちゃの車があるとします。この車が壊れて、タイヤに繋がる歯車が欠けてしまったり、ボディがへこんでしまったりした場合、見た目にわかる形で壊れています。このように、車の部品に実際に問題がある状態が、器質的疾患に似ています。車を修理するには、壊れた部分を直さなければなりません。
• 風邪をひいたとき: 風邪をひくと、喉が痛くなったり、熱が出たりします。これは、ウイルスが体の中で炎症を引き起こしているためです。このように、体の中で何かが実際に起こっている状態が器質的疾患の一例です。
• お腹の痛み: もしお腹が痛くて病院に行ったとします。医者が検査をして、虫垂炎（盲腸）が見つかった場合、これは器質的疾患です。お腹の中に実際に異常があるため、手術が必要になることがあります。

これらの場合には、見つかるかどうかは別として、構造的な破綻がどこかにあることになります。

整形外科の治療対象は器質的疾患

骨折

骨の断裂やひびが入った状態で、整形外科的な治療が必要です。通常、ギプス固定や手術が行われます[2][7]。

脱臼

関節が正常な位置から外れた状態で、整形外科や接骨院での整復が必要です[2][7]。

椎間板ヘルニア

椎間板が突出し、神経を圧迫する状態で、手術や薬物療法が必要な場合があります[2][7]。

変形性関節症

関節の軟骨がすり減り、痛みや可動域制限を引き起こす疾患で、整形外科での診断と治療が求められます[2][7]。

骨粗鬆症

骨密度が低下し、骨折のリスクが高まる状態で、整形外科での管理が必要です[2][7]。

症状は機能障害と器質的疾患両方でオーバーラップしている

実際に人が感じる痛みや痺れといった症状は、機能障害でも器質的疾患でも生じます。また、両方が同時に原因になっていることもあります。

そのため、できる限りのリスクを排除しつつ、自分にとって最適な治療はどちらか選択することが大切です。同時に両方の治療や施術を受けないでください。良くなっても悪くなっても、原因が分からなくなります。

ではこの場合↓は徒手療法と整形外科どちらが向いているでしょうか？

器質的疾患由来の症状が強い場合

この場合は器質的疾患（病気）の影響が強ので、病院で治療すべきケースです。

病院で医師の指示に従い治療した結果残った症状は、機能障害の可能性が高いので接骨院や整体の施術対象です。

次にこちら↓の場合はどうでしょうか？

機能障害由来の症状が強い場合

機能障害の影響が強いから、接骨院や整体へ行くべきでしょうか？

こちらはひっかけ問題で、この場合でもまずは病院で検査・治療を受けてください。

器質的疾患（病気）には、脳梗塞や心疾患など命に関わる病気が含まれます。「普通の腰痛だと思っていたら腹部大動脈解離だった」などのケースで亡くなる方が実際にいますし、初診段階でこれらを見抜き病院での検査を勧める治療家に運良く当たるとも限りません。

病院で治療を受けても症状に変化がない場合には、整体や接骨院などの徒手療法も一考の価値があるはずです。

まとめ

整体や徒手療法は、主に機能障害に対するアプローチを行い、筋肉や関節の痛みを軽減することを目的としています。一方、整形外科は、器質的疾患に対して医学的な診断と治療を行い、手術や薬物療法を含む多様な治療手段を提供します。

まずは病院での検査を最優先で行い、その後の状態や症状に応じて適切な医療機関を選ぶことが重要です。

現状では日本医師会や各都道府県の医師会からの通達で、症状や病態にかかわらず接骨院への通院を認めない病院もあります。これが当たり前になると、本来であれば改善できた症例を見逃し、無用な通院を続けることでの医療費増大や患者様の選択権を奪うことに繋がります。

お互いに得意・不得意があるので、患者様のことを考えて補完できるような関係性になることを願っています。

参考情報リンク：

[1] https://www.maeda-chiro.com/chiroplactic/
[2] https://kojima-sekkotsu.com/sekotsuin/seitaitoseikeigekanotigai/
[3] https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/43/3/43_263/_pdf
[4] https://www.nihonisen.ac.jp/judo/capacity/equipment.php
[5] https://sclover-chiro.com/about/
[6] https://www.ochaseikei.com/seikeigeka/senchoukansetusyougai.html
[7] https://kinmaku-m.com/tokucho-chigai
[8] https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002lamn-att/2r9852000002latt.pdf
[9] https://hidamari-seikotu.jp/navi/seitaitoseikeigekatonotigaiha%EF%BC%9F/
[10] https://karada-seikotu.com/osteopathicclinicdifference/
[11] https://job-medley.com/tips/detail/671/
[12] https://sumiyoshishinkyuseikotuin.com/seitai-seikei/
[13] https://xn--t8jap4px77s2waf0cky4aoqbn1eoyqfr0ckk2acj4c3nn.com/sejyutu/seitaitoseikeigekatosekkotuinseikotuinnotigai/
[14] https://jac-chiro.org/aboutchiro/
[15] http://www.ikedaseikei.com/qanda.html
[16] https://www.ido-netshopping.com/products/detail.php?product_id=5515
[17] https://www.maruzenjunkudo.co.jp/products/9784752931256
[18] https://www.amazon.co.jp/%E7%AD%8B%E8%86%9C%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%BE%92%E6%89%8B%E7%99%82%E6%B3%95%E2%80%95%E6%A9%9F%E8%83%BD%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%A8%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%AE%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%A6-Leon-Chaitow/dp/4752931257
[19] https://kumanomi-seikotu.com/blog/3831/
[20] https://inda-seitai.com/free/column25
[21] https://thankyou-recruit.com/knowledge/1916-2/
[22] https://rehasaku.net/magazine/clinic/lumbago-placetogo/
[23] http://www.hiranumaseikeigeka.jp/article/13145761.html
[24] https://seikei-fukuda.jp/2024/07/20/what-you-may-not-know-about-the-difference-between-orthopedics-and-osteopathic-clinics/
[25] https://ueda-seikeigeka.com/blog-detail/%E8%85%B0%E7%97%9B%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%97%E3%81%A6%E2%91%A2%E5%99%A8%E8%B3%AA%E7%9A%84%E8%85%B0%E7%97%9B/
[26] https://ueda-seikeigeka.com/blog-detail/%E8%85%B0%E7%97%9B%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%97%E3%81%A6%E2%91%A0%E6%A9%9F%E8%83%BD%E7%9A%84%E8%85%B0%E7%97%9B%E3%81%A8%E5%99%A8%E8%B3%AA%E7%9A%84%E8%85%B0%E7%97%9B/
[27] http://www.shiobara-hp.jp/doc/11003e_3.html
[28] https://akeho-clinic.com/html/sikkan.html
[29] https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai1951/14/2/14_2_123/_pdf
[30] https://www.kameda.com/pr/sports_medicine/post_48.html
[31] https://doctorsfile.jp/h/202785/mt/1/
[32] https://kitahama-egi-orthop.com/disease/chronic-pain/

さとう接骨院
院長：佐藤幸博

仙台市泉区の整体 さとう接骨院は、痛みへの施術だけでなく再発予防まで、お客様一人ひとりの健康を大切にオーダーメイドで対応しています。

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