後脛骨筋腱機能不全(PTTD)の症状と治療法

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後脛骨筋機能不全(PTTD)

後脛骨筋腱機能不全(PTTD)は、足の内側に位置する後脛骨筋腱が機能しなくなることによって引き起こされる機能障害で、主に成人における扁平足の原因となります。

この状態は、腱の炎症や損傷が進行することで、足のアーチを支える能力が低下し、最終的には足の形状が変わることにつながります。

 

足のアーチ構造

PTTDの解説をする前に、前提知識として足のアーチ構造について解説していきます。

足のアーチ構造は、足の機能において非常に重要な役割を果たしています。足には主に3つのアーチがあり、それぞれが体重を支え、衝撃を吸収するために設計されています。

 

足のアーチの種類

足部内側の構造

  • 内側縦アーチ: かかとから親指の付け根にかけて形成されるアーチで、最も高い部分を持ちます。このアーチは、歩行時の衝撃を吸収し、体重を均等に分散させる役割を果たします。
  • 外側縦アーチ: かかとから小指の付け根にかけて形成されるアーチで、内側縦アーチよりも低いです。このアーチも衝撃吸収に寄与しますが、主に足の外側の安定性を提供します。
  • 横アーチ: 足の前部に位置し、親指と小指の付け根を結ぶアーチです。このアーチは、足の幅を支え、歩行時のバランスを保つのに重要です。

足のアーチ構造

足のアーチ構造のイメージです。石橋を思い出していただくと、その頑丈さが理解できます。

 

アーチの機能

足のアーチは、以下のような機能を持っています。

  • 衝撃吸収: 歩行や走行時に地面からの衝撃を吸収し、足や関節への負担を軽減します。
  • 体重の分散: 体重を足全体に均等に分散させることで、特定の部位に過度な負担がかかるのを防ぎます。
  • バランスの維持: アーチ構造は、立っているときや動いているときのバランスを保つのに役立ちます。

 

アーチの崩れとその影響

足のアーチ構造の崩壊

頑丈な石橋のアーチ構造も、要になる石が上方に変位すると容易に崩壊します。要石を下方に押し下げ、アーチの崩壊を防いでくれるのが後脛骨筋の役割の一つです。

後脛骨筋

 

PTTDの原因とリスク要因

PTTDは、以下のような要因によって引き起こされると言われています。

  • 過剰使用: 長時間の立ち仕事や高強度の運動が腱に負担をかけ、炎症や損傷を引き起こします。
  • 加齢: 年齢とともに腱が劣化しやすく、特に中年以降の女性に多く見られます。
  • 肥満や糖尿病、高血圧: これらの健康状態はPTTDのリスクを高める要因です。
  • 外傷: 足首や足に対する直接的な外傷が腱の損傷を引き起こすことがあります。

 

症状

PTTDの主な症状は以下のようになっています。

  • 内くるぶし周辺の痛み: 特に歩行時や運動時に痛みが増すことがあります。
  • アーチの低下: 足のアーチが平らになり、扁平足の状態になります。
  • つま先立ちの困難: 片足でつま先立ちをすることが難しくなります。
  • 腫れや炎症: 足の内側や足首に腫れが見られることがあります。

 

診断方法

PTTDの診断は、医師による身体検査と患者の症状の詳細な評価に基づいて行われます。特に、以下のようなテストが行われることがあります。

  • 単脚かかと上げテスト: 患者が片足で立ち、つま先立ちを試みることで腱の機能を評価します。
  • 画像診断: X線やMRIを用いて腱の状態や足の構造の変化を確認します。

 

一般的な治療法

PTTDの治療は症状の重症度に応じて異なります。一般的な治療法は以下になります。

  • 保存療法: 足底板やインソールを使用してアーチを支える方法や、物理療法を通じて痛みを軽減します。
  • 薬物療法: 炎症を抑えるための非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が処方されることがあります。
  • 手術: 保存療法が効果を示さない場合や、腱の完全断裂がある場合には、手術が検討されます。手術の内容は、腱の修復や周囲の組織の清掃などが含まれます。

 

予防策

PTTDを予防するためには、以下のような対策が有効です。

  • 適切な靴の選択: 足をしっかり支える靴を選び、古くなった靴は早めに交換します。
  • 体重管理: 健康的な体重を維持することで、足への負担を軽減します。
  • 定期的な運動: 足の筋力を強化するための運動を取り入れることが推奨されます。

 

まとめ

PTTDは進行性の機能障害であり、早期の診断と適切な治療が重要です。

症状が現れた場合は、足病医など足専門の医療機関での評価を受けることが推奨されます。

当院でも、足病学に基づいた医療用インソール(すでに足が変形しているなら市販品では不十分)や、足に良い靴のご紹介をしています。

最後に

執筆者:院長 柔道整復師 佐藤幸博

さとう接骨院
院長:佐藤幸博

仙台市泉区の整体 さとう接骨院は、痛みへの施術だけでなく再発予防まで、お客様一人ひとりの健康を大切にオーダーメイドで対応しています。

施術・メンタルヘルス・運動・栄養・睡眠の5本柱で、根本的な解決策を。お体の悩みやご相談はいつでもご予約・お問い合わせからどうぞ。

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参考リンク
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