
オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)は、成長期の子どもに多く見られる膝の痛みの原因で、特にスポーツ活動に関連する骨端症の一つです。
病期の進行が非常に早く、終末期に至ると骨性の治癒は期待できなくなります。そのため、子供が膝の痛みを訴えた場合は早期に治療を開始する必要があり、何よりも予防が大切な疾患です。
この記事では、オスグッド病の症状や治療法、予防策を、足の専門医である足病医がどう考えているのかも含め詳しく解説します。
サッカーなどスポーツをされるお子様をお持ちの父兄やスポーツ指導者はぜひご確認下さい。
オスグッド病の病態と原因
オスグッド病は、膝蓋腱が脛骨粗面に付着する部位での過剰な牽引力による機械的刺激で引き起こされる骨端症と考えられています。
成長期の子どもは骨の成長が急激である一方で、筋肉や腱の成長が追いつかないため、特に大腿四頭筋の柔軟性が低下しやすくなります。この不均衡が、膝にかかる負担を増加させ、オスグッド病を引き起こします[1][4][9]。
オスグッド病の疫学
スポーツを行う小学生は一般の子供よりも身長の成長が早くなることが分かっています。年間の身長増加量(PHA)のピークが、一般の子供は12歳前後であるのに対しサッカーの場合は10歳前後になるため、より膝の痛みに注意が必要です。
両膝に発症する方も20~30%いますが、予後は良好です。ただし、治療を受けなかった場合などは骨が剥がれたまま残ってしまう遺残性のオスグッド病が10%ほど発生します。場合によっては手術が必要になります。
発症年齢
PHA前後で発症が多くなります。
- 男性:12~15歳(小学6年生~中学生)
- 女性:8~12歳(小学校高学年)
罹患率
12~15歳:9.8%
- 男性:11.4%
- 女性:8.3%
オスグッド病の症状
オスグッド病の主な症状には以下が含まれます。
- 膝蓋骨の下、脛骨粗面部に痛みや腫れが生じる。
- スポーツ活動中に痛みが悪化し、安静時には軽減する。
- 膝の圧痛や熱感、骨の隆起が見られることがある[2][4][6]。
オスグッド病のリスク因子
どんな人にオスグッド病が多いのでしょうか?
以下の要素がある場合、オスグッド病の発症確率が上がると考えられています。
- オーバーユース
- 急激な骨の成長(身長の伸び)
- 股関節や膝関節周囲の可動域制限
- 膝蓋骨高位
オーバーユース
いわゆる「使いすぎ、運動しすぎ」になります。
首・肩・腰・膝の痛みなど運動器疾患は、ほとんどの場合「負荷量が回復を上回る」場合に生じます。そのため、年代や体の成長に合わせた練習メニューが必要です。
急激な骨の成長(身長の伸び)
先程述べたように、年間の身長増加量(PHA)には注意が必要です。子供は1ヶ月で3cm身長が伸びることもあり、この時期に運動量が調整できれば怪我のリスクを下げることができます。
股関節や膝関節周囲の可動域制限
筋肉の成長が遅れているので、大腿四頭筋だけでなく、反対側のハムストリングスや股関節も硬くなっていることが多くあります。
さらなる負傷を避けるためにも、可動域の制限があればストレッチなどを行う必要があるでしょう。
膝蓋骨高位
大腿四頭筋が硬いため、膝のお皿の位置が高くなっていることが分かっています。大腿四頭筋のストレッチを段階的に行いましょう。
オスグッド病の検査
オスグッド病は進行が早く、最後の終末期まで進行している場合には骨の癒合は見込めません。そのため痛みを感じたら早期の検査が必要です。
- 脛骨粗面の膨隆・運動時痛:痛みの部位や状況を確認し、症状を詳細に聞き取ります。
- 脛骨粗面の圧痛:脛骨粗面部の圧痛や腫れを確認します。
- 画像診断:レントゲンや超音波検査、場合によってはMRIを用いて、骨の状態や腫れを確認します[3][10][24]。
この中でも、「脛骨粗面の圧痛」は初期から現れる症状なので、セルフでの確認が可能です。自分で押して痛ければ、その日は運動を休むことで発症を抑えることができます。
病院ではレントゲン検査をされることもありますが、発症初期の大切な時期を見逃す可能性が高くおすすめできません。初期でも確認できる超音波やMRIが有用です。
治療法
オスグッド病の治療は主に保存的治療が中心です。足病医は以下の治療法を推奨します。
- 安静:痛みが強い時期には、スポーツ活動を控えることが重要です。通常、成長期の骨の成長が止まるまでの数ヶ月間は注意が必要です[6][19]。
- ストレッチとリハビリ:大腿四頭筋の柔軟性を高めるためのストレッチや、筋力を強化する運動を指導します。これにより、膝への負担を軽減します[4][9][33]。
- 活動制限:痛みを引き起こす動作(ジャンプやダッシュなど)を避けるよう指導し、徐々に運動量を戻していくことが重要です[1][5][8]。
治療に魔法のような方法は存在しません。体の回復を妨げない範囲で、成長に合わせ少しずつ運動量を増やしていきましょう。
オスグッド病の初期~進行期(発症1ヶ月程度まで)であれば、通常4週間程度で回復が見込めます。終末期(3ヶ月以上)の場合、その後3ヶ月以上かけても完全な治癒は見込めませんが、痛みと付き合いながら運動を継続することは可能です。
その場合にはオスグッドバンドなどのサポーターも使っていきましょう。

オスグッドバンド
予防
先程のリスク因子をできるだけ取り除く他、以下の内容が有効でしょう。
- 適切なウォームアップとクールダウン:運動前後にストレッチを行い、筋肉の柔軟性を保つことが重要です[9][14]。
- 適切な靴の選定・インソールの使用:足に合った靴を選ぶことで、膝への負担を軽減します[7][28]。
- 定期的なコンディションチェック:成長期のスポーツ選手には、定期的に柔軟性や痛みのチェックを行うことが推奨されます[9][19]。
スポーツを行っている小学生は、「運動前後の脛骨粗面の圧痛の確認」「毎月1回身長を測る」ことがおすすめです。
まとめ
オスグッド病は、成長期の子どもに多く見られるスポーツ障害であり、早期の発見と予防が重要な役割を果たします。適切なケアと管理を行うことで、症状の改善や再発防止が期待できます。
参考リンク:
[1] https://fuelcells.org/topics/34240/
[2] https://okuno-y-clinic.com/itami_qa/osgood.html
[3] https://okadaseikei.com/blog/detail/20230205224453/
[4] https://m-seikei.net/2024/08/23/%E3%82%88%E3%81%8F%E8%80%B3%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E3%81%A3%E3%81%A6%EF%BC%9F/
[5] https://hikari.saitama.jp/syojyo/te-ashi/osuguddo/
[6] https://toyosu-seikeigeka.com/disease/2023/03/1690/
[7] https://www.merckmanuals.com/home/children-s-health-issues/bone-disorders-in-children/osgood-schlatter-disease
[8] https://ishigami-seikei-cl.com/%E7%96%BE%E6%82%A3%E5%88%A5%E8%AA%AC%E6%98%8E/%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E7%97%85/
[9] https://www.zamst.jp/tetsujin/knee/osgood-disease/
[10] https://okazaki-varix-pain.com/%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%97%85
[11] https://www.healthcare.omron.co.jp/pain-with/sports-chronic-pain/osgood-schlatter-disease/
[12] https://ubie.app/lp/search/osgood-schlatter-disease-d626
[13] https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases--conditions/osgood-schlatter-disease-knee-pain/
[14] https://www.luriechildrens.org/en/specialties-conditions/osgood-schlatter-disease/
[15] https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/osgoodschlatter-disease
[16] https://www.nakada-hp.com/publicity/column/archive-48/
[17] https://www.upmc.com/services/orthopaedics/conditions/osgood-schlatter
[18] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK441995/
[19] https://www.fukuokaseikei.com/disease/%E8%B6%B3%E3%81%AE%E7%96%BE%E6%82%A3/%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%97%85%E3%81%A8%E3%81%AF-2/
[20] https://www.cedars-sinai.org/health-library/diseases-and-conditions---pediatrics/o/osgood-schlatter-disease.html
[21] https://orthopedicreviews.openmedicalpublishing.org/article/121395-diagnosis-and-management-of-osgood-schlatter-disease
[22] https://www.forespo.com/tra-uma/osgood/index.html
[23] https://www.childrenshospital.org/conditions/osgood-schlatter-disease
[24] https://www.edogawa.or.jp/%E8%A8%BA%E7%99%82%E7%A7%91%E3%83%BB%E9%83%A8%E9%96%80/%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E7%A7%91/%E4%B8%BB%E3%81%AA%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%A8%E6%B2%BB%E7%99%82%E6%96%B9%E6%B3%95/%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%97%85
[25] https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/21171-osgood-schlatter-disease
[26] https://www.betterhealth.vic.gov.au/health/conditionsandtreatments/osgood-schlatter-syndrome
[27] https://www.nationwidechildrens.org/conditions/sports-medicine-osgood-schlatter-disease
[28] https://kidshealth.org/en/parents/osgood.html
[29] https://familydoctor.org/condition/osgood-schlatter-disease/
[30] https://www.mountsinai.org/health-library/diseases-conditions/osgood-schlatter-disease
[31] https://www.healthcare.omron.co.jp/pain-with/sports-chronic-pain/prevention-of-osgood-schlatter-disease/
[32] https://matsuda-oh.com/rehabili/knee_4690
[33] https://www.rakuwa.or.jp/clinic/marutareha/reha_shikkan/osgood.html
[34] https://matsuda-oh.com/treatment/knee_1134
[35] https://nyulangone.org/conditions/osgood-schlatter-disease-in-children/diagnosis
[36] https://www.hopkinsmedicine.org/all-childrens-hospital/services/pediatric-sports-medicine/injuries/knee-conditions/physical-therapy-for-osgood-schlatter
[37] https://emedicine.medscape.com/article/1993268-treatment
[38] https://nyulangone.org/conditions/osgood-schlatter-disease-in-children/treatments/nonsurgical-treatment-for-osgood-schlatter-disease
最後に

さとう接骨院
院長:佐藤幸博
仙台市泉区の整体 さとう接骨院は、痛みへの施術だけでなく再発予防まで、お客様一人ひとりの健康を大切にオーダーメイドで対応しています。
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